トクフミの映画覚書

東大で自主映画制作と漫才を二足のわらじでやっているブログ主が作品のレビューや活動報告をさせていただきます。

2018キネ旬ベストテン予想、答え合わせ!

 2019年2月5日。僕にとっては審判の日でした。一つは大学の期末試験の最終日(といっても大して力を入れていたわけではないですが)。そして圧倒的もう一つは、『キネマ旬報ベストテン発表特別号』の発売日です。最後のテストが終わったら自分へのご褒美にキネ旬を買ってカフェで優雅に答え合わせをしようと決めていました。見事的中させれば賞金9.2万円。緊張の面持ちで僕は杏仁豆腐の匂いがする新刊のページをめくりました。

まずは日本映画。結果は・・・

2018日本映画キネマ旬報べストテン 

  1. 万引き家族 
  2. 菊とギロチン
  3. きみの鳥はうたえる
  4. 寝ても覚めても
  5. 孤狼の血
  6. 鈴木家の嘘
  7. 斬、
  8. 友罪
  9. 日日是好日
  10. 教誨師

ちなみに僕の予想はこんな感じでした!赤字はベストテン入り作品()内はランク外作品の実際の順位

  1. きみの鳥はうたえる
  2. 万引き家族
  3. 斬、
  4. 菊とギロチン
  5. 友罪
  6. 寝ても覚めても
  7. 止められるか、俺たちを(16位)
  8. 犬猿(24位)
  9. カメラを止めるな!(17位)
  10. 素敵なダイナマイトスキャンダル(13位)

俺の9.2万円が!!!消えて無くなった・・・そんな瞬間。と言いたいところですが、実際は1位の発表が前日にあったのでもうダメだとわかっていたんですよね笑

でも、割に当て勘良くないですか?ええ、まあ上位4つはほぼ当確ですし多くの他の方も予想されていましたが、僕の個人的な2018日本映画ベスト・ワンである『斬、』と、未鑑賞だけど「すれ違い枠」で入ってくると予想した『友罪』がベストテン入りしていたのは、方向性が間違っていなかった証拠だと言い張りたいですね。また、外した4作品も全て24位以内には収まっているのはなかなか良い(『素敵な〜』なんかは結構冒険したつもりですしね)

※「すれ違い枠」とは、Filmarksでの点数が3.5以下である、すなわち世間の評価がそれほど高くはないが評論家の評価が高くてベストテン入りしている作品、と勝手に僕が定義したものです。最近五年間は少なくとも2作品はこれが入っていました。

一番大きな誤算は、『カメラを止めるな!』のランク外。読者票では2位に輝いた本作ですが、評論家の支持はそれに見合うほどには得られなかったようです。発表前は、あれだけ脚本が冴え渡っているし、評論家も評価せざるを得ないだろうと勝手に舞い上がっていましたが、まあ、そうですよね・・・。結局「テレビドラマでもいいじゃない」と言われたらそれまで。映画として作られるべくして作られた映画を彼らは選ぶのでしょう。評論家との意識のシンクロ率がまだまだ甘かったことを反省します。

 

さて、続いて外国作品です。前日の一位発表が一致していたので、「ひょっとしたらひょっとするかも」と本気で期待をかけてページをめくりました。

 

2018年キネマ旬報外国映画ベストテン 

  1. スリー・ビルボード
  2. ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
  3. シェイプ・オブ・ウォーター
  4. ファントム・スレッド
  5. ボヘミアン・ラプソディ
  6. 15時17分、パリ行き
  7. 顔たち、ところどころ
  8. 1987、ある闘いの真実
  9. ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ
  10. 判決、二つの希望

そして僕の予想はこんな感じです 赤字はベストテン入り作品 ()内はランク外作品の実際の順位

  1. スリー・ビルボード⬅︎ピタリ賞!
  2. ファントム・スレッド
  3. 心と体と(29位)
  4. 15時17分、パリ行き
  5. 聖なる鹿殺し(144位)
  6. シェイプ・オブ・ウォーター
  7. ラブレス(16位)
  8. ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ
  9. ビューティフル・デイ(81位)
  10. 君の名前で僕を呼んで(25位)

はい、収入ゼロです。うーん外国映画は日本映画よりも選出傾向に癖があって当てやすいと思っていたのですが、やはりパイが大きい分難しかったですね。

個人的に一番嬉しいのは『ニューヨーク、』を当てられたこと。これを予想している人は僕が観測した範囲ではいなかったので。まあ、僕見てないんですけど・・・

で、今回の外国映画ベストテン、とっても面白い点があるんですよ。そう、文字通り、とっても面白い「点」です。

後半の6〜10位作品、全ての邦題に「、(読点)」がついているんですよ。最近の邦題の付け方のトレンドを見たような気がします。原題を確認してみましょう。

 

15時17分、パリ行き』➡︎『THE 15:17 TO PARIS』

顔たち、ところどころ』➡︎『Visages Villages(村の顔)』

1987、ある闘いの真実』➡︎『1987:When the Day Comes』

『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』➡︎『In Jackson Heights』

判決、ふたつの希望』➡︎『L'insulte(侮辱)』

『15時17分』『1987』はともかく、他の3作品は邦題に読点がつく必然性はないことが分かります。しかし、昨今の翻訳家は読点をつけたがり、それも比較的評価の高い作品が多いようです。

ひょっとして、『心と体と』なんかも、『心と、体と』という邦題なら選出されていたかもわかりません。逆に、2001年宇宙の旅』(原題:2001:A SPACE ODYSSEY)の日本公開が最近5年以内だったとしたら邦題は『2001年、宇宙の旅』になっていただろうと僕は断言しますね(歴史にif...は無いから意気揚々と断言しているだけですが)

 

さてさて、結果としては惨敗に終わった僕のキネ旬予想ですが、今回、そこそこ本気で挑んだだけあって、得られるものは多かったように思えます。2019年はチェック作品数を増やして、リベンジします!

おっと、言い忘れてましたが僕個人的な2018外国映画ベスト・ワンは『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』です。でもこれは入ってこないんだろうな〜と思って外して、案の定35位でした。

今回の分析でお世話になった『キネマ旬報2019年2月下旬ベスト・テン発表特別号』はこちらから購入いただけます。ベストテン漏れした作品の細かい順位や分析が乗っていて楽しいですよ↓↓