トクフミの映画覚書

東大で自主映画制作と漫才を二足のわらじでやっているブログ主が作品のレビューや活動報告をさせていただきます。

『キネマ旬報外国映画ベストテン』を徹底予想!

2018年キネマ旬報ベストテン予想!

ランキング大好き人間トクフミです。

前回は日本映画ベストテンを予想しました(一位予想は、好きでもないのに『きみの鳥はうたえる』!)が、今回は外国映画編です。前回記事を見ていらっしゃらない方のために、もういちどキネ旬というものが何なのかをおさらいしましょう。

キネマ旬報ベストテン』は、日本で1924年より続く映画賞であり、米国アカデミー賞をもしのぐ歴史を持ちます。

今回僕が挑戦している企画は『キネ旬ベストテン2018』の発表に向けた恒例のイベント、題して「絶対てられないベスト・テンが、キネ旬にはある」。

詳しくはこちら⬇︎

http://www.kinejun.com/kinejun//tabid/106/Default.aspx?ItemId=737

どうゆう企画かはお察しの通りです。見事的中した者には、第92回の開催にちなみ、現金9.2万円がもらえます!(しょぼいですよね。割に合わないですよね。映画業界の現状が反映されているかのようです)

結果発表は2月5日です

(僕の期末テストが終わる日でもあります。いろんな意味で審判の日なのです)

というわけでそこそこ気合を入れて作成したベストテンは以下の通り↙︎

2018外国映画ベストテン予想

1.スリービルボード

2.ファントム・スレッド(未見)

3.心と体と(未見)

4.15時17分、パリ行き

5.聖なる鹿殺し(未見)

6.シェイプオブウォーター

7.ラブレス(未見)

8.ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ(未見)

9.ビューティフル・デイ 

10.君の名前で僕を呼んで

 

(2018年の大人気作品『グレイテスト・ショーマン』と『ボヘミアン・ラプソディ』は読者選出ベストテンのみに入ると予想します)

未見作品が多い中で予想するのは苦しい部分があるのですが、作ってみました。日本映画編に続いて無難だとあしらわれそうですが、一応本気で賞金を狙っているのです。

大前提として、最近の外国映画ベストテンは日本映画ベストテンほどコアな作品に偏ることはありません。さらに、外国映画ベストテンを予想するにあたっては、いくつかの指標が存在します。

1.各映画祭作品賞との相関

一つ目の判断基準は三大映画祭(カンヌ・ベネチア・ベルリン)+米アカデミー賞の作品賞受賞作品のランクイン率です。今回は過去10年の各映画祭作品賞受賞作品がどれくらいキネマ旬報ベストテンにランクインしているのかを調べました。

◉2008~2017年ベストテンにおける各作品賞作品のランクイン数

・米アカデミー賞作品賞(8/10)

カンヌ国際映画祭パルム・ドール(4/10)

ベネチア国際映画祭金獅子賞(3/10)

ベルリン国際映画祭金熊賞(1/9)

明らかに四つの映画賞の中ではアカデミー賞がダントツでキネ旬との親和性が高いですね。意外だったのは三大映画祭作品賞はいずれも半分以上がランク外であり、金熊に至っては2011年の『別離』が2位を受賞したきりであるという事実です。

上の考察から、アカデミー&金獅子ダブル受賞の『シェイプオブウォーター』はほぼ確実に入ってくるでしょう。2017年パルム・ドールの『ザ・スクエア思いやりの聖域』、2017金熊賞の『心と体と』をどう捌くかは大いに悩むのですが、前者を排して後者を3位にランクインさせます。

また、調べるうちにイギリスで開催される「英国アカデミー賞」も過去10年で7作品ベストテン入りしており親和性が高いことがわかったので、2017年度受賞で国内でも評価の高い『スリービルボード』を一位に据え置きます。

さらに、ロサンゼルス映画批評家協会賞の作品賞作品も過去10年で8作品と、オスカーに並ぶ親和性を持つことから、2017年度受賞の『君の名前で僕を呼んで』を10位に。

 

 2.国内評論家の趣向

人が誰しも好き嫌いを持つように、評論家にも監督の好き嫌いがあるようです。過去十数年のキネ旬ベストテンを眺めていると、笑えるくらい明らかなものがあります。それはクリント・イーストウッドへの偏執です。『許されざる者』で初めてランクインして以降、凄まじい確率で彼はベストテンに君臨しています。以下はそれを表にしたものです。

イーストウッド作品題名 年度 順位      
許されざる者 1993 1  
パーフェクトワールド      
マディソン郡の橋 1995 3  
真夜中のサバナ      
目撃      
トゥルーくらいむ      
スペースカウボーイ 2000 1  
ブラッドワーク      
ミスティック・リバー 2004 1  
ミリオンダラーベイビー 2005 1  
父親たちの星条旗 2006 1  
硫黄島からの手紙 2006 2  
チェンジリング 2009 3  
グラン・トリノ 2009 1  
インビタクス 2010 2  
ヒアアフター 2011 8  
Jエドガー 2012 9  
ジャージー・ボーイズ 2014 1  
アメリカンスナイパー 2015 2  
ハドソン川の奇跡 2016 1  
15時17分パリ行き 2018 ?  

2004年以降は「つくれば入る」という具合ですね(イーストウッド本人は日本の一雑誌の映画番付なんぞに興味はないでしょうが・・・)

となると今回の対象作品『15時17分、パリ行き』は確実にランクインしてくるでしょう。ただ、個人的に1、2位を争う出来ではなかったと判断し、4位に落ち着けます。

また、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品『ファントム・スレッド』も、どう監督の最近三部作が連続ランクインしていることと、今回作品の国内での評価の高さを考慮して、そして今回は思い切って2位に置いてみましょう。

 

さて、こじつけてない作品があと4作品ありますね。そのうち『聖なる鹿殺し』と『ビューティフル・デイ』は揃って2017年度カンヌの脚本賞を受賞しています。後者は鑑賞したうえで「わからなさ」を評価しました。前者は名前がかっこいいので入れました。

『ラブレス』はかつて『父、帰る』でベネチア金獅子賞を受賞したアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の最新作です。

そして『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』ですが、たまたま今日下高井戸シネマで上映しているのを見つけたのですが、3時間越えの尺といい、ポスターの雰囲気といい、フレデリックワイズマン監督作品といい、良作の匂いがプンプンします。

ざっとこんなものですかね。パルム・ドール作品を除外するのにはなかなか勇気がいりました。近年の傾向の「ハズレ」がここに来ると踏んで。

さて、あとは結果を待つのみです。果たして僕は9.2万円(日本映画編も当たれば18.4万円、リーマンの初任給超えます)を手にすることができるのか。もし片方も当たらなければ、「来年こそは」と決意を新たにします。